内部監査人、環境と社会を取り巻く、欧米との違いについて
そして、この、内部監査人ですが、日本の社会では、欧米のそれとは少し環境が違います。
Internal Auditorとは、専門職です。
そんな認識が近年芽生えてきています。認められつつあると思います。それは、日本内部監査協会と、時代を引っ張ってきた、たくさんの内部監査人たちの努力のたまものだと思います。
日本における内部監査の環境と意識
どうして内部監査を始めることになったか、そのきっかけは、実はみんな同じ?
しかしながら、多くの内部監査人は望んで内部監査人になったわけではないのが現状でしょう。偶然の賜物で、たまたま、そうなった。
- 社内の人事異動の一環で、任命され、その、一見、バックグラウンド的な職種へ異動という、「ショックな」事態から、
- 内部監査人とは実は、専門職だったんだ!と光明を知り、その奥深さに目覚め、
- 実施基準を勉強し、国際資格の取得を目指し、
そして、内部監査人としてのプライドを形成した人がほとんどではないかな、と推測します。
多くの内部監査人にとって、また次にはどこへ異動するかわからない、途中の職務であったり、もしくは、経理や管理部門、それから営業などの表舞台の経験者の「あがり」の部門としてのとらえられてしまう。
ジョブローテーション、なんていう慣習は、おそらく日本独自のものです。スペシャリストではない、ゼネラリストを育成する社会です。
けれども、幸いなことに、ミドルの内部監査人は、部門の専門知識と、組織をよく知っているや、社内の人脈を持っていることで、業務において有効に働くため、こうした、定年前のポストや嘱託としても、長く働き続けたい人たちにとって絶好の職種でもあるのです。
実際、20代や30代の前半の社員は、会社での経験が少ないことと、年功序列による意見の通らなさから、不向き、まだ早い、という見方もされます。若くても、それなりに役割は分担できると、マリコは思います。
海外における内部監査の環境と意識
外国では、内部監査についての認識は違うの?
反対に、欧米では、大学で内部監査を学び、はじめから監査のスペシャリストとして社会に出る人たちがたくさんいます。
新米監査人として経験を積みながら、その後、各部門へ移動し、また監査部門に戻ってくる。
社会全体において、どの程度職業人としての経験が蓄積されているのか、が通用し、専門職としての転職は珍しいことではありません。
当然に自分の仕事に誇りを持ち、一生をかけてブラッシュアップしていこうという人が多いということです。
監査人「Auditor」は社会に出た時から、よっぽどのことがない限り、ずっと「Auditor」でいられるので、それだけ長い年月をかけて、専門職としての知識や経験も蓄積できるのです。
自分の一生のキャリアとして、携えていきたい内部監査という職業
内部監査部門というのは、ほとんど唯一といっていい、会社全体を見回すことができる部署で、会社のことを深く理解するにはもってこいの仕事です。
それゆえ、経営幹部の登竜門とみなされることも多いと聞きます。
あなたは、内部監査にこだわりを持てますか?
日本企業でも、優秀な人材を回す部門としての位置づけに考えられている企業も増えてきたと思います。けれども、まだまだ、こういったほんとの意味の専門職が育つ土壌には、至っていないのが現状です。
内部監査人の仕事にやっと魅力を感じて、本質を理解し、やりがいを感じてきたころに異動の辞令。ここで、専門性を貫くために、会社を辞める決断をする人がどれだけいるでしょうか。社会の仕組みが問題ですね。
一家の大黒柱でもある、サラリーマンとして、大きな決断です。
それでも内部監査にこだわってほしい、そう願っています。
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